デジタル営業 REPORT 0195

社内ナレッジの真の活用:攻めのデジタル営業へ

実践知が組織内を流れ、営業担当者へ共有され成長につながるエディトリアルイラスト

組織の財産である社内ナレッジを整備していますか?

業務効率の向上において、社内ナレッジは極めて重要な役割を担います。

社内ナレッジを適切に蓄積し、社員が円滑に情報へアクセスできる環境を整備することは、業務効率の大幅な改善につながります。

その理由は、必要な情報が整理・体系化され、すぐに活用できる状態になっているため、社員が個別に情報を調査し、解釈し、顧客に説明できるよう準備する手間を削減できるからです。

これは、過去の経験や知見の集積、すなわち組織の財産と言えるでしょう。

社内ナレッジが充実していれば、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ的確に対応することが可能となり、顧客満足度の向上に貢献します。

その結果、受注率の向上という好循環を生み出すことが期待できます。

このような環境が業務効率に大きく貢献することは、多くの方が認識しているところです。

しかしながら、多くの企業では社内ナレッジの整備が十分に進んでいないのが現状です。

その背景には、整備に一定の手間を要するという事情があります。

加えて、その手間が適切に評価されない傾向も、整備が進まない要因の一つとして挙げられます。

社内ナレッジ整備の効果と課題を示す構成図
社内ナレッジ整備の効果と、整備が進みにくい背景
  • 社内ナレッジは、過去の経験や知見を蓄積した組織の財産
  • 必要な時に現場のノウハウが提案される状態が売上拡大につながる

準備した社内ナレッジは知られていない?

社内ナレッジの整備に取り組んでいるという話は多くの企業で耳にしますが、必要な時に必要な情報へ迅速にアクセスし、活用できる状態になっているかという問いに対しては、多くの企業がそこまでの段階には至っていないと答えます。

多くの企業では、社員がアクセス可能なフォルダに、カテゴリごとに分類されたWordやExcelファイルが保存されているという状況が見られます。

確かに、必要なドキュメントにいつでもアクセスできる状態ではありますが、社員側から見ると、目的の情報がどこに格納されているのか分かりにくいという課題があります。

せっかく時間をかけて作成した情報が十分に活用されていないケースも少なくありません。従来はメール、現在ではTeamsやSlackなどの社内コミュニケーションツールを用いた一斉通知によって情報の周知を図っているようですが、社員への情報伝達効果は限定的です。

なぜなら、人間は必要に迫られた時に初めて情報を探す傾向があるからです。

そのため、必要性を感じていない時に一斉通知を受けても、一時的に情報に目を通すものの、すぐに優先度の高い業務に意識が移り、通知の内容は忘れられてしまいがちです。

社内ナレッジの一斉通知が活用につながらない流れを示す構成図
一斉通知だけでは、社内ナレッジの価値が十分に伝わらない

社内ナレッジを見ない方がいけない?

社内ナレッジの課題は、社員側にあるのではなく、必要な時に必要な情報リストを迅速に提供できる状態まで企業が準備できているかという点にあります。

社内ナレッジは、知っている人は有効活用している一方で、知らない人は全く利用しないという二極化が見られます。

情報にアクセスしない社員は、自身が使いやすいように資料を作成しているのが現状です。

自ら作成した資料を、特定の問い合わせに対する対応マニュアルとして活用し、個人のノウハウとして蓄積しているのです。

その結果、苦労して作成した資料は自身のノウハウであるため、他者に共有することに抵抗を感じる傾向があります。

社内ナレッジを見ない社員だけに責任を求める問題を示す構成図
整備と通知だけで「見ない方が悪い」とは言い切れない

自分のノウハウは自分の財産

そのため、社内ナレッジよりも個人のナレッジ(セルフナレッジ)を重視し、他者との差別化を図ろうとする動きが見られます。

この傾向は、特に従来の営業担当者に多く見られます。

営業担当者は、他者の売上と自身の売上が比較される環境に置かれるため、同僚が競争相手となります。

そのため、自身が蓄積したノウハウが他の営業担当者に利用され、売上向上につながることを快く思わないという感情が生じやすいのです。

売上比較を通して成長してきた背景を考慮すれば、このような感情は理解できます。

しかしながら、このような営業担当者が持つノウハウは、聞きかじりの情報から作成された社内ナレッジよりも、はるかに実践的で価値の高い情報です。

営業担当者の隠れたノウハウを組織の財産へ変える流れを示す構成図
営業担当者の実践的なノウハウを、組織の財産へ変える

使われる社内ナレッジとは

この情報が、他の営業担当者が必要と感じた時に容易にアクセスできる状態であれば、売上向上に直結することは明らかです。

つまり、社内ナレッジは単に整備され、いつでもアクセスできる状態であれば十分とは言えません。

現場のノウハウを必要と感じた時に、リストとして提案(サジェスト)される状態こそが理想であり、それこそがデジタル営業における攻めの営業、すなわち積極的な売上拡大につながるのです。