お問い合わせは嬉しくない?
多くの企業では、依然としてメールとExcelを中心とした問い合わせ管理が行われています。
お問い合わせは、サービスや商品の機能(スペック)、価格、配送内容、サービス全般に関する相談、申し込み・解約方法、操作方法、そしてクレームなど、多岐にわたります。業種によって分類は異なりますが、大まかにはこれらの項目に分類できるでしょう。
中には、「問い合わせはクレームが多くて、あまり嬉しくない」という意見も耳にしますが、問い合わせはクレームに限らず、企業にとって非常に貴重な情報源です。
確かに、クレーム処理は精神的な負担が大きい業務です。
しかし、クレームは製品やサービスの改善に不可欠なだけでなく、他の問い合わせも顧客のニーズや課題を把握する上で重要な手がかりとなります。
クレーム内容を一覧化して管理している企業もありますが、それはクレームの拡大を防ぐことを主目的とした管理と言えるでしょう。
しかし、せっかくいただいた問い合わせを、単なるステータス管理に留めておくのは非常にもったいないことです。

- 問い合わせは、顧客のニーズや課題を把握する貴重な情報源
- 現場の知見をFAQへ積み上げることで、業務効率と顧客満足度が向上する
クレーム以外の問い合わせも重要な分析対象
大切なのは、クレームであれば「なぜクレームが発生したのか?」という原因を深掘りし、改善につなげるためには「具体的に何をすべきか?」という対策を講じることです。
そして、クレーム以外の問い合わせについても集計・分析することで、顧客のニーズや傾向を把握し、ビジネスの成長につなげることが重要です。
以下、問い合わせ分析を通じて、あらゆる問い合わせをビジネス成長の機会に変えるための具体的な方法をご紹介します。
問い合わせデータの収集と集約
メール、電話、チャット、Webフォーム、SNSなど、さまざまなチャネルからの問い合わせデータを一元的に収集・集約します。
CRM(顧客関係管理)システムや問い合わせ管理システムの導入を検討することで、効率的なデータ収集と管理が可能になります。
問い合わせ内容の分類と分析
例えば、問い合わせ者に選択していただけるように、Webフォームに問い合わせ区分のような選択項目を設けておきます。
項目はさまざまですが、例えば以下のように分類できます。
- 製品不具合
- 操作方法の不明
- 価格に関する質問
- 配送状況の確認
- サービスへの要望
- 契約・解約手続き
- その他相談
各カテゴリの問い合わせ件数や傾向を分析することで、改善すべき課題や顧客のニーズを明確にします。
例えば、「操作方法の不明」に関する問い合わせが多ければ、マニュアルの改善やFAQページの充実を検討できます。
「価格に関する質問」が多ければ、価格設定の見直しや情報提供の改善を検討できます。
テキストマイニングなどの分析手法を活用することで、問い合わせ内容から潜在的なニーズや不満、顧客の感情などを抽出することも可能です。
現場感覚の重要性を数値化する
そして、ぜひ行っていただきたいのが、年間を通じた問い合わせ分析です。
実は現場の対応者レベルでは、「この時期はこんな問い合わせが多いよね」といった感覚値があります。
その感覚値は非常に重要ですが、数値化されていないため重要度が分からず、現場の感覚で終わっています。しかし、その感覚が顧客にとっては重要なのです。
そのため、そのような現場の感覚値を数値化することで、少ない問い合わせでありながら、顧客のニーズに合ったFAQ作成のヒントを見つけることが可能となります。
各問い合わせへの対応と改善
クレーム
原因を特定し、具体的な改善策を策定・実行します。
改善後、効果測定を行い、必要に応じて再分析と対策を行います。
その他の問い合わせ
各カテゴリの問い合わせ傾向を分析し、FAQページの充実、Webサイトの情報改善、サポート体制の強化など、具体的な対策を講じます。
改善効果の測定とフィードバック
実施した改善策の効果を測定し、効果が出ていない場合は再度分析と対策を行います。
改善結果を社内で共有し、今後の製品開発、サービス向上、マーケティング活動などに活かします。
必要に応じて、問い合わせを寄せた顧客に改善内容をフィードバックすることで、顧客満足度の向上にもつながります。
問い合わせ分析のメリット
- 製品・サービスの品質向上
- 顧客満足度の向上
- 業務効率の改善
- 新たなビジネスチャンスの発見
- 顧客ロイヤルティの向上

問い合わせ分析後の活用
問い合わせ内容を分析した後、さまざまな活用方法がありますが、まず実施すべきはFAQ(よくある質問)の作成です。
FAQ作成とその重要性
FAQは、問い合わせ者に対して適切な参考URLを迅速に提供することで、対応者の回答レベルの均一化と迅速化を実現し、業務効率化と顧客満足度向上に大きく貢献します。
FAQ作成において重要なポイントは、現場担当者が容易に作成・更新できる仕組みであるかどうかです。
WordPressを用いてFAQを運用しているケースも多く見られますが、WordPress特有の概念を知っておく必要があり、多少は教育コストがかかりますので、誰もが簡単に扱えるわけではありません。
また、FAQの作成を他部署に依頼し、Webサイトへのアップロードを依頼する運用の場合、実際に公開されるまでにタイムラグが発生してしまいます。
特に、季節的な問い合わせの場合、FAQ記事をアップロードしても有効活用できる期間が短くなってしまうという課題があります。
さらに、後から修正箇所が発生した場合も、再度依頼しなければならず、タイムロスが発生してしまいます。
そのため、FAQページの作成は、何よりも現場担当者が簡単に作成・更新できることが非常に重要なのです。
FAQ作成の現場主導によるメリット:社内ナレッジとしての活用と情報蓄積
現場でFAQを容易に作成できることの大きなメリットの一つは、社内ナレッジとして有効活用できることです。
日々、問い合わせを受けている担当者の感覚は非常に信頼性が高く、その経験に基づいて得られた知見をドキュメントとして残しておくことは、企業にとって非常に貴重なノウハウとなります。
些細なことでも備忘録として、現場担当者がすぐにFAQのドラフトを作成できる仕組みを構築することをお勧めします。
具体的には、以下のような段階的な運用方法が効果的です。
社内ナレッジとしてのドラフト作成
まずは、現場担当者が各自、問い合わせ対応の中で得た知見やノウハウをFAQのドラフトとして作成します。この段階では、社内のみで共有される情報として扱います。
他担当者からの意見集約
作成されたドラフトに対して、他の担当者から意見やフィードバックを収集します。これにより、情報の精度を高め、多角的な視点を取り入れることができます。
FAQページとしての公開
集約された意見を反映し、内容を精査した後、正式なFAQページとして公開します。
この方法であれば、情報を段階的に積み上げることができ、いきなり公開することなく、社内ナレッジとしてすぐに活用できるため、情報の有効活用につながります。
また、公開前に社内でレビューすることで、FAQの品質を担保することができます。
現場で容易に作成できる仕組みは、社内ナレッジとしての運用と情報の蓄積という、二つの重要な側面を同時に実現できる、非常に効率的な運用方法と言えるでしょう。

