営業マネージャーが担うべき範囲は、時代とともに大きく変化
営業マネージャーの責務は、予算化された売上目標を達成することです。これは不変の事実です。しかし、その達成のために営業マネージャーが担うべき範囲は、時代とともに大きく変化しています。
従来の営業組織では、営業マネージャーの守備範囲は、見込み顧客へのアプローチから受注、場合によっては納品までとされていました。
見込み顧客の獲得はマーケティング部門や営業担当者の新規開拓活動に依存しており、営業マネージャーは主に数字管理に注力する役割でした。つまり、「個人の力」に頼る営業スタイルが主流だったと言えます。
しかし、現代においては、個人の力量に依存する営業から、チームで効率的に成果を上げる営業へとシフトしています。この変化に伴い、営業マネージャーの役割も大きく変化しました。
現代の営業マネージャーには、単なる数字管理だけでなく、売上目標達成へのコミットメントが強く求められます。そのため、以下のような業務も守備範囲に含まれるようになりました。
新規顧客獲得(リードジェネレーション)への関与
質の高いリードを獲得し、営業担当者が効率的にクロージングできるように、マーケティング部門と連携したり、必要に応じて自らも新規顧客獲得活動に関与したりする必要があります。従来の「新規顧客獲得はマーケティング部門の責任」という考え方は通用しなくなっています。
既存顧客の維持・拡大(リテンション・アップセル・クロスセル)
売上には新規顧客からの収益だけでなく、既存顧客からの契約更新や追加契約による収益も含まれます。そのため、解約防止策の実施や継続更新、追加契約に向けたアクションも管理する必要があります。
LTV(顧客生涯価値)最大化のための戦略立案・実行
リード獲得から契約更新、追加契約まで、顧客とのあらゆる接点を考慮した全体的な営業活動を俯瞰的に管理する役割が求められます。つまり、短期的な売上だけでなく、長期的な顧客との関係構築と収益最大化を目指した戦略を立案し、実行していく必要があります。
- 営業マネージャーの管理範囲は、リード獲得から契約更新まで広がっている
- 個人の力に頼らず、チームで顧客生涯価値を最大化する

求められる営業マネージャーの役割
前述のような営業マネージャーの役割の変化に伴い、従来の「叩き上げ」型の営業経験だけでは対応しきれないケースが増えています。具体的には、以下のような課題が顕在化しています。
新規顧客獲得ノウハウの不足
従来の営業経験者は、顧客への提案や商談、いわゆる「クロージング」には長けているものの、新規顧客を獲得するための戦略立案や実行経験が不足している傾向があります。特に、Webマーケティングやデジタルツールを活用した新規顧客獲得に関しては、知識や経験が乏しい場合が多く見られます。
既存顧客維持に偏重した営業
長くアカウント営業を担当してきた営業担当者は、顧客との長期的な関係構築や維持には強みを発揮しますが、そのノウハウは個人の経験に依存しがちです。そのため、組織全体としての売上底上げにはつながりにくく、属人的な営業体制から脱却できません。
これからの営業マネージャーに求められるスキルセット
これらの課題を踏まえると、現代の営業マネージャーには、新規顧客獲得(リードジェネレーション)、クロージング(商談・受注)、契約更新(リテンション)という、営業活動の主要3領域を統括的に管理し、成果を最大化する能力が求められます。
しかし、これらの3領域すべてにおいて十分な経験を持つ人材は社内では限られており、外部からの人材登用も視野に入れる必要が出てきます。
ところが、現状では、外部人材の採用が必ずしも期待通りの組織力向上につながっていないケースも散見されます。これは、以下のような要因が考えられます。
- 採用基準の不明確さ:求める人物像や必要なスキルセットが明確に定義されていないため、適切な人材を選定できていない。
- オンボーディング・育成体制の不備:入社後の研修や育成プログラムが不十分で、外部人材が組織にうまく適応できていない。
- 既存組織との連携不足:外部人材と既存組織との連携がうまくいかず、シナジー効果を発揮できていない。
つまり、外部人材の登用だけでなく、採用基準の見直し、オンボーディング・育成体制の強化、そして既存組織との連携促進といった、包括的な組織戦略が不可欠であると言えるでしょう。
単に人を補充するだけでなく、組織全体として変化に対応できる体制を構築していくことが、現代の営業組織における重要な課題となっています。
